第10章 船から転げ落ちる?

モニカは口を開きかけた。喉元まで出かかった罵声を、ぎりぎりで飲み込む。

どうしろっていうのだ。船を降りる? 港で物乞いでもする?

阿部奈々がモニカの指をそっと引き、静かに首を横に振った。

もう、逃げ道はない。

500万――その甘い匂いは、どんな屈辱だって丸飲みにさせるには十分すぎた。

二人はおとなしく、脱いだ古着を脇の回収ボックスへ放り込んだ。

数分後。武装した警備員二名に挟まれ、船の最下層へ連れて行かれる。

二人部屋の控室。

広くはない。だが不気味なほど清潔だった。シングルベッドが二つ。独立したトイレ。余計な装飾は一切なく、壁は冷えた銀色の金属で統一されている。

何より息...

ログインして続きを読む