第168章 彼に調子を合わせる

送迎バスは帰り道、やたらとガタガタ揺れた。

阿部奈々は硬い背もたれに身を預ける。痛み止めの注射は、もう完全に切れていた。

下腹の差し込むような痛みが波みたいに落ちていく。首筋の痣も、引っ張られるたびにじくじく疼く。

体の芯から力が抜けて、指一本すら動かしたくない。

隣の席のモニカが、身を寄せて声を落とした。

「奈々、さっき休憩センターで誰見たと思う? レオ。あの背ぇ高い観測員。幹部連中、もうあたしたちのこと放っとくらしくてさ。さっき警備も止めなかったし、普通に話せた。で、言ってたんだけど……この数日、あたしたち四人は自由行動でいいって。指定の病室にずっと籠もってなくていいんだって」...

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