第22章 斬り落とす?

「……切り落とす?」

阿部奈々は、その一言で涙が決壊した。ぽろぽろと大粒の雫が、冷えた床に落ちていく。

壁際の隅へ隅へと必死に身を縮め、両腕で膝を抱え込む。袋小路に追い詰められた獲物みたいに。

高原文也の、血のついた指先は――まだ彼女の足首に触れたままだった。

一秒。二秒。

右足が失われる。そう覚悟しかけた瞬間、頭上から、からかうような低い笑いが落ちてくる。

「……フッ」

高原文也は手を離した。

背筋を伸ばし、縮こまった阿部奈々を見下ろす。最初から本気じゃない。怯えきった哀れな顔を、ただ眺めて楽しんでいただけだ。

彼はそのまま衣装棚の前へ行き、扉を乱暴に引き開けた。黒い短パ...

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