第24章 脱出の道具

高原文也の視線が彼女を越え、洗面台の脇にある半開きの収納棚へまっすぐ突き刺さった。

ピンクの歯ブラシ。いちごのボディソープ。それから、きちんと畳まれた女物の生理用品。

高原文也は鼻で笑った。あからさまな、唾棄するような冷笑だ。刀傷の走る顔が、薄暗い照明の下でいっそう意地悪く見える。

「制御室のバカども、本気でお前を“お客さん”扱いしてやがるな。こんなピンクのオモチャまで用意して……何だ? 自分が白衣の天使にでもなったつもりか?」

阿部奈々は下唇を噛み、黙ったまま動けない。

制服のスカートの裾をぎゅっと握りしめる。掌は冷や汗でぐっしょりだ。

「夢見るな。金に釣られて来た哀れな連中が...

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