第26章 音信不通

阿部奈々は「首に縛りつける」という言葉を聞いた瞬間、背中にぞわりと白い汗が噴き出した。

高原文也なら、本当にやりかねない。

歯を食いしばり、鎖を引きずりながら、びっこを引いてトイレへ逃げ込む。

気持ちを整え、ドアを押し開けた。適当に細部をでっち上げて切り抜けようと口を開きかけた、その時――頭上の錆びたブリキのスピーカーがガリガリと鳴った。

「全員に通達。朝食の時間です。各区の患者および観測員は、順に食堂へ向かってください」

高原文也は眉をひそめ、ベッド脇の金属柵、その裏側に隠されたパネルを屈んで押した。

カチッ。

鎖が彼の足首から外れ、床の溝へとするすると引き込まれていく。

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