第36章 いったい避けられたのか?

阿部奈々の頭の中は、ぐちゃぐちゃだった。

状況を見極める間もなく、分厚い防護扉が目の前で「バン!」と閉まり、運動場の乱闘の光景は完全に遮断される。

廊下では、フル装備の警備員が防護盾を構えて駆け、スタンガンの高圧が「バチバチッ」と乾いた火花音を響かせていた。

もう、収拾がつかない。

阿部奈々とモニカは数人の女介護士に背中を押され、腕を掴まれ、家畜でも追い立てるみたいにFエリアへ押し戻された。

「入れ!」

介護士が乱暴に二人をFエリア5の病室へ突き飛ばす。直後、電子ロックが三段階で落ちる音。

「カチャン、カチャン、カチャン」

病室は、怖いほど静かだった。

外からはかすかに警報...

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