第40章 バカンスにでも来たつもりか?

高原文也は阿部奈々の腕を掴むと、そのまま部屋へ引きずり込んだ。

信じられないほどの力だった。阿部奈々は踏ん張ることすらできず、よろめいて床に転がる。膝が床にぶつかり、鈍い音がした。

「ドンッ!」

背後で、分厚い扉が叩きつけられるように閉まる。廊下の光が、そこで完全に断ち切られた。

続けて、電子ロックが三重に落ちる。

「カチ、カチ、カチ」

外のイカれた連中の喚き声も、耳障りなサイレンも聞こえない。だが閉ざされた静寂は、逆に頭皮を這うような悪寒を連れてくる。

高原文也は怒鳴らなかった。

ただそこに立ち、肩で荒く息をしながら、床に座り込んだ阿部奈々を見下ろしている。

殴られるより...

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