第41章 変態的な潔癖症

重い扉が閉まったあと、阿部奈々は床にしゃがみ込んだまま、しばらく動けなかった。

おにぎりみたいにぐるぐる巻かれた右手を見つめる。涙が、今にもこぼれそうに滲む。

……でも、泣かなかった。

泣いたところで何になる。泣けばあの500万が、勝手にポケットへ転がり込むのか?

歯を食いしばり、壁に手をついて立ち上がる。

2時間。残されたのは2時間だけ。

阿部奈々は重たい足取りで机へ向かった。怪我をしていない左手で、食べ残しのスープの器を2つ、ぶきっちょに持ち上げる。

手首がかすかに震えた瞬間、冷えきった汁が数滴、床に落ちた。

「くそ……!」

低く吐き捨て、急いで器をトイレへ運んで洗い流...

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