第47章 絶対に私を見ないでください

重たい扉が「バンッ」と閉まった。

緑の制服を着た、紙みたいに薄っぺらい小さな女の子が追い出される。

廊下の足音が遠ざかっていく。やがて、完全に消えた。

だが、ジェニックは去らなかった。病室の中に、まだ立っている。

ジェニックは赤く擦れた首筋を揉み、ふうっと長く息を吐いた。まるで舞台をやり切った役者みたいに。

阿部奈々は、隅の古い本棚の陰に縮こまり、呆然としていた。

どういうこと……? さっきまで殴り合い寸前だったのに。高原文也だって「ゴミと一緒に出ていけ」って――。

本能が告げる。これから先は、500万もらってるだけの観測員が見ていいものじゃない。

「……ブツは持ってきたか」...

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