第48章 七針縫った

阿部奈々は、その一言で完全に黙らされた。

床にしゃがみ込み、目の前の男を見上げた瞬間、背筋がぞくりと冷えた。

夕食どきの食堂では、二人が通るだけで、灰色の服を着た男たちが幽霊でも見たみたいに道を空ける。やけに広い通路が、勝手にできあがる。

二人は端の端、いちばん隅のテーブルで向かい合って座った。最初から最後まで、誰も一言も口を開かなかった。

阿部奈々は、フォークで皿の上のマッシュポテトを機械的につついていた。視線は決して向かい側へ向けられない。

彼女には、自分の目の前に座っているものが、もはや人間ではなく、超高性能の嘘発見器にしか見えなかった。

雨漏りするトレーラーのキャンプじゃ...

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