第49章 おとなしく従う奴へのご褒美だ

阿部奈々はその一言に腹の底から腹が立ち、奥歯を噛み砕きそうになった。

高原文也をきつく睨みつけると、ぷいと背を向け、何も言わずに部屋の隅のマットへ向かう。

――媚びるもんか。

腹を七針も縫ってるから面倒を見てやってるだけで、そうじゃなきゃ生きようが死のうが知ったことじゃない。

Fエリア-5病室のエアコンはいつだって設定が低い。マットには多少の弾力があるとはいえ、横になっている時間が長くなるほど冷気が骨の隙間にまで染み込んでくる。

阿部奈々は膝を抱きしめ、哀れな小さな塊みたいに身を縮めた。

目を閉じる。頭の中はぐちゃぐちゃだ。

雨漏りするトレーラーの一角。

泥の匂い。酸っぱい下...

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