第52章 実験体として扱われる場所

阿部奈々はモニカの隣までふらふら歩くと、足から力が抜けて、青いクッションにどさりと尻もちをついた。胸の奥に溜まっていた息を、長く吐き出す。

「……神様。あんた、私が何をされたか、ほんと知らないよ」

モニカがすぐ身を寄せる。

「どうした? またアイツ、暴れた? ジェニックが人連れて病室に乗り込んだって聞いたけど」

「それだけじゃない」

阿部奈々は額の冷や汗を袖で拭い、反射的に背後を振り返った。

十メートルほど先。高原文也が壁にもたれ、腕を組んだまま、底の見えない黒い目でこちらを睨みつけている。

奈々は慌てて顔を戻し、声をさらに落とした。

「モニカ、私……あの人が分かんない」

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