第56章 閉じ込める

阿部奈々は、自分がこの部屋にどれほど閉じ込められていたのか分からなかった。

窓はない。

電子時計もない。

頭上にあるのは、かすかな光を吐く薄暗い照明が一つだけ。

静かすぎて、怖い。

廊下を巡回する警備員の足音も、警報も、別の患者が発狂して叫ぶ声も届かない。

まるで世界から完全に切り離され、忘れ去られたみたいだった。

阿部奈々は、冷え切った硬い床に座り、簡素なシングルの鉄ベッドにもたれた。

胃が、きりきりと痙攣する。

空腹だ。

昨日の昼、食堂で口にしたのはマッシュポテトをほんの数口だけ。

午後、高原文也に引きずられるようにここへ連れて来られてから、いまだに水一滴すら飲んで...

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