第60章 貪るようにキスをする

「……もう、しません」

背中を冷たい金属の壁にべったり貼りつけたまま、心臓が胸を突き破りそうな勢いで暴れていた。

高原文也はその返事を聞いても、すぐには手を離さない。

緊張で強張った顎のラインをなぞるように視線が落ち、上下する鎖骨を掠めて――白い下着の縁で、ぴたりと止まった。

部屋のエアコンは相変わらず冷気を吐いているのに、阿部奈々の周囲だけ空気が焼けるように熱い。

高原文也が、ゆっくり手を上げる。

銃を握り続けた指の腹。硬いタコが残る、そのざらついた感触が、むき出しの肩にそっと触れた。

阿部奈々はびくりと全身を震わせ、感電したみたいに身をすくめる。

「ウサギみたいに震えてる...

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