第10章 自分の子どもを自ら殺した

床に広がる血だまりが、刻一刻と濃くなる。目に刺さるほどの赤。

千崎謙人は手を震わせたまま、考える暇もなくソファに投げてあった上着をひっ掴み、駆け寄って栗原舞歌の身体をきつく包み込んだ。

細い肩。骨ばった背中。

羽みたいに軽い。

脚の間から滲み出た血がシャツにべっとり移り、ぬるりとした感触が掌から胸へ、得体の知れない恐慌を押し広げる。

嫌な予感が、心の底で増殖していく。

――このまま、舞歌を失うのか。

――取り返しのつかない罪を、自分の手で?

車は狂ったように飛ばし、病院へ滑り込んだ。

「先生! 助けてくれ! 血が……血が止まらないんだ!」

千崎謙人が救急に怒鳴り込むと、医...

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