第11章 この子は誰の子か、誰が知っている?

電話の向こうは、長い沈黙に沈んだ。

栗原舞歌はスマホを握りしめ、――もう無理かもしれない。そう思いはじめた頃、男の声が落ち着いた調子で返ってくる。

「いい。1週間前倒しで、こっちで手配する」

栗原舞歌は苦く笑った。

「ありがとうございます。それで十分です」

少なくとも、あと7日早く――この息が詰まる場所から、完全に離れられる。

通話を切ると、彼女はスマホをしまい、目を閉じてそのまま横になった……。

それから数日間、栗原舞歌は入院したまま治療を受け続けた。

もともと穏やかな性格で、医師や看護師にはいつも微笑み、丁寧に頭を下げる。言葉遣いも柔らかい。

けれど千崎謙人が病室に入っ...

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