第13章 彼の嘘

千崎謙人はスマホを握り潰すほど強く握りしめ、指先が青白くなる。

受話器の向こう、栗原舞歌の声に滲む隠しようのない嘲りを聞いた瞬間、眉間がきゅっと寄った。

――怒っているのは、俺が誕生日に付き合わなかったからだ。

そう決めつけ、反射的に口が動く。

「今日はちょっと用事があってさ。会社で急に緊急案件が入って、チーム全員で残業なんだ。抜けられなくて……だから、行けなかった」

早口で、下手な嘘を本物っぽく塗り固める。

たった今、江藤乃唯とミュージカルを観ていたことなど、もちろん一言も言わない。

「必要なら、0時までには必ず早めに帰る。そんなに長くはならない」

「誕生日プレゼントも……...

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