第16章 いったい彼にどうしろというのか?

そのとき、栗原舞歌は高みから見下ろすように、冷えた視線を彼へ落としていた。

波ひとつ立たない瞳に宿るのは、露骨な軽蔑と冷淡さ。かつて彼に向けていた労わりも愛情も、欠片ほども残っていない。

まるで道端の邪魔な石ころ。――立ち止まって見る価値すらない、と言わんばかりに。

千崎謙人はその視線を受けただけで胸の奥が締めつけられ、反射的に拳を握りしめた。爪が掌に食い込み、ちくりと痛みが走る……。

彼がこれ以上騒がないのを確認すると、女性警察官は栗原舞歌へ向き直り、声のトーンを落とした。

「この方は、あなたのご主人ですか?」

栗原舞歌は視線を引き、淡々と一言だけ吐き捨てる。

「知り合いです...

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