第22章 まだ弄ばれたではないか

千崎謙人は失望を滲ませたまま江藤乃唯と向き合い、苛立たしげに息を吐くと、踵を返して立ち去ろうとした。

江藤乃唯は呆然と立ち尽くす。――本当に行く。そう悟った瞬間、全身に冷たいものが走った。

だめ。ここで謙人を行かせたら、私たちは終わる。

「行かないで!」

泣き声混じりの叫びと同時に、涙が眼窩いっぱいに溜まり、頬を伝って落ちた。

彼女はほとんどよろけるように駆け寄り、千崎謙人の腰にしがみつく。指先が食い込むほど強く抱き締め、崩れそうな声で縋りついた。

「謙人……わざと騙したんじゃないの! だって、あなたのことが大事すぎて……あなたがいなきゃ、私、生きていけない……っ」

千崎謙人は...

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