第23章 細やかな気配りの彼

栗原舞歌は、突然現れた人影にびくりと身をすくませ、反射的に二歩下がった。心臓がどくどくと暴れ、喉の奥がひりつく。

「……誰? 何の用?」

声を張り上げたせいで、自分の声がやけに甲高く、耳障りに響く。

――前に、家に押し入られかけた。あのときの恐怖は、今でも身体の奥にこびりついている。

目の前にいるのはスーツ姿の男。見た目はまともでも、油断はできない。舞歌は、いつでも逃げ出せるように重心を引いたまま睨みつけた。

こちらが怯えたのを察したのか、男は慌てて一歩退き、軽く身をかがめる。

「栗原さん、驚かせてしまい申し訳ありません。流川社長の秘書をしております、小野智也と申します。こちら、...

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