第29章 彼女への罰

パチパチ、と乾いた音が弾けた瞬間――皿いっぱいのサーモンが、そのまま江藤乃唯の体にぶちまけられた。

凍ったサーモンとドライアイスが肌に貼りつき、乃唯は反射的に身をのけぞらせる。

「きゃあっ! 冷たい! 腕が……痛い……!」

栗原舞歌は眉を寄せ、思わず自分の手を見下ろした。

さっき自分がしたのは、ただ乃唯が近づいてくるのを避けたくて、軽く押しただけだ。こんな勢いで皿がひっくり返るほどの力なんて入れていない。

――またか。

江藤乃唯は、そういう女だった。

舞歌は争う気なんてない。千崎謙人とはもう離婚した、すぐにここを去る――そう何度も、はっきり告げてきたのに。

乃唯は病気みたいに...

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