第33章 彼女はずっと純粋だった

千崎謙人は、自分がどれほどの時間、そこに立ち尽くしていたのか――もう覚えていなかった。

足の感覚がじわじわと痺れ、身体の重心が勝手に崩れて前へ倒れかけた瞬間、ようやくぼんやりと意識が戻る。

壁に手をつき、手の甲に血管が浮き上がるほど力を込めて、指を少しずつ握りしめた。

さっき栗原舞歌にぶつけられた言葉が、頭の中で何度も何度も反芻される。まるで呪いみたいに、心を落ち着かせてくれない。

――俺が「汚い」って、江藤乃唯のせいでそう思うのか?

だが、あの夜。自分と江藤乃唯の間に、本当に「何か」があったのかどうか。肝心の本人である千崎謙人ですら、はっきり分からないのだ。

考えれば考えるほど...

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