第38章 逃れられない悪夢

「痛っ……」

「――あっ!」

突然走った激痛に、栗原舞歌は悲鳴を上げた。身体が反射的に跳ね、制御も利かないまま後ろへどさりと尻もちをつく。

尾てい骨が折れたんじゃないかと思うほどの衝撃。じわりと涙が滲んだ。

「この恩知らず! あんないい家に住んでるくせに、なんで今まで黙ってたんだ?」

背後で、甲高い女の声が突き刺さる。

その瞬間、舞歌の身体がびくりと硬直した。見開いた瞳に、恐怖が一気に満ちる。

この声――まさか。

勢いよく振り返った刹那、胸の奥がすうっと冷え切った。

目の前に立っていたのは、男女二人。

男は背が高く、顔には脂ぎった肉がつき、目の奥に凶暴さがべったり張り付い...

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