第40章 離れられない檻

気づけば週末。――今日は、あの「誕生日パーティー」の当日だった。

まだ空が白む前、栗原舞歌は身支度を整えると、迷いなく荷造りを始めた。

三年。

きっちり詰め終えて、ふと手が止まる。

……自分のものが、小さなスーツケースひとつにすら満たない。

持ち上げても、ふわりと軽い。まるで中身が空っぽみたいに。

それはきっと、この三年の自分と同じだ。

千崎謙人の心の中に、栗原舞歌という存在は――一欠片の重みすら残せなかった。

千崎謙人が「誕生日を改めて祝う」と言い出した日から、舞歌は期待などしていない。参加するつもりも、最初からない。

そもそも、彼女の誕生日は――今日じゃない。

それに...

ログインして続きを読む