第3章

震える手で電話に出た。マーゴットおばさんの声は途切れ途切れで、ひどく掠れていた。「イサドラ……あなたのお父さんが……」

「何があったの?」心の中の動揺とは裏腹に、なんとか冷静を装って尋ねた。

「心臓発作よ。一時間くらい前に」彼女の嗚咽に、世界がぐらりと傾いた。「今、手術中なの。医者たちは予断を許さないって言ってるけど、あなたのことをずっと……。それに、マックスさんのことも」

顔から血の気が引いた。五年間の結婚生活で、すべてが崩れ落ちそうな時でも気丈に振る舞う術を学んだはずだった。だが、この一言は私の心の壁をすべて打ち砕いた。

「すぐ行くわ」フライトの時間を計算しながら、私は言った。「待っててって、伝えて」

「イサドラ、お父さん、マックスさんにも会いたがってる。あなたのことを心配して、あなたが大丈夫か確かめたいのよ……」その一言一言が、新たな傷口となった。「マックスさんには言った?」

私は目を閉じた。マックスに電話? ついさっき、私を哀れな女だと罵った男に? 今頃、ルシアの腕の中にいるであろう男に?

「こっちはなんとかする」

電話を切った後、膝が崩れ落ちそうになった。部屋がぐるぐると回り、聞こえるのは父の声だけだった――目に涙を浮かべて私とバージンロードを歩いてくれた父。その父が今、命懸けで戦っている。

崩れてはいけない。今だけは。

三十分後、私はB市行きのプライベートジェットに乗っていた。機内にはエンジンの低い唸りと、私の激しい心臓の鼓動だけが響いていた。何度も、何度もマックスに電話をかけた。だが、呼び出し音はいつも同じ無機質な留守番電話のメッセージに切り替わるだけだった。

「マックス、お願いだから出て……。お父さんが危篤なの、あなたに会いたがってる……」

十七回目のコールで、マックスの秘書であるクラウスさんにつながった。

「クラウスさん、今すぐマックスを探してください」自分がどれほど必死な声に聞こえるかなんて、もうどうでもよかった。「父が心臓発作で……危篤なんです。マックスに会いたがっています」

クラウスさんは気まずそうに咳払いをした。「奥様、ハプスブルクさんからは一週間、一切連絡を取り次がないようにと厳命を受けております。Z市のプライベートロッジにおられ、絶対に連絡はするなと……」

「緊急事態です!」狭い機内で、私の声はひび割れた。「住所を教えてください。私が直接行きます」

「申し訳ございません、奥様。ですが、ご指示は絶対でして……」クラウスさんの声が沈んだ。「奥様との……ご関係について、考える時間が必要だとおっしゃっていました」

その言葉は、平手打ちのように私を打った。父が死にかけているというのに、マックスはまだこんな駆け引きをしているのか。

B市に着陸した頃、夜が明け始めていた。病院の匂い――消毒液と絶望の混じったそれに、足元がふらついた。

ICUの待合室は、まるで墓場のようだった。マーゴットはプラスチックの椅子にうずくまり、泣き腫らした顔をしていた。私が入っていくと、彼女は飛びつくように駆け寄ってきた。

「よかった、来てくれて」彼女は私にすがりついた。「手術はうまくいったの。でも、目が覚めてからずっと、あなたとマックスさんのことを呼んでるわ」

安堵と恐怖が胸の中でせめぎ合った。手術を乗り越えたことへの安堵。そして、夫がどこにいるのか全く分からないことへの恐怖。

「マックスさんは? いつ着くの?」マーゴットが私の顔を覗き込む。

私は口を開きかけ、そして閉じた。彼女の夫が命懸けで戦っているというのに、私の夫は休暇を楽しんでいるなんて、どう説明すればいい?

「もうすぐ着くわ」私は嘘をついた。

父との面会は五分だけ許された。病室には、父を生かすための機械の作動音が満ちていた。喉に管を通された父の姿に、身を引き裂かれるような思いがした。

「お父さん……」私は彼の冷たい手を取った。ピアノを教えてくれた手、発表会のたびに拍手を送ってくれた、あの手だ。

彼の瞼がかすかに震え、開いた。私を見ると、その顔に安堵のようなものが浮かんだ。人工呼吸器の管の隙間から何かを話そうとするが、出てくるのは囁くような音だけだった。

「イサドラ……愛おしい子よ……」かろうじて聞き取れる声だった。「マックスくんは……どこだ?」

胸にひびが入った。こんな時でさえ、父の最大の心配事は自分のことではなかった。私の面倒を見てくれる人がいるかどうか、それだけだった。

「もうすぐ来るわ、お父さん」私は声を震わせないように必死だった。「お父さんは回復することだけ考えて。目が覚めたら、二人ともここにいるから」

父は弱々しく頷き、ありったけの力で私の手を握り返した。「彼に……君を頼むと……約束してくれ……」

「そんなこと言わないで」それでも涙が溢れてきた。「大丈夫だから。P市でのコンサートがまだ残ってるでしょ、覚えてる?」

彼の瞳には言いたいことがたくさん詰まっているようだったが、すでに医師が時間の終わりを告げていた。その手を離すのは、自分の心臓を引きちぎるような感覚だった。

廊下に出た途端、私はもう一度マックスに電話をかけた。やはり留守番電話につながるだけだった。

私は壁にずるずると寄りかかり、虚脱感に襲われた。私を最も愛してくれた人が命懸けで戦っているのに、私が最も必要としている人は、煙のように消えてしまった。

五年間で初めて、本当の孤独がどういうものか分かった。

その時、父の病室からアラームが鳴り響いた。

医療スタッフが私の横を駆け抜けていく中、全身の血が凍りついた。窓越しに、彼らが父のベッドに群がるのが見えた。心電図モニターには、ギザギザの不規則な線が表示されている。

「何が起きてるんですか?」部屋に入ろうとしたが、看護師に阻まれた。

「ご家族の方は外でお待ちください。容態が急変しました。今、最善を尽くしています」

私はガラスに身を押し付け、彼らが父に処置を施すのを見つめた。規則的であるはずの心拍を示すモニターは、混沌とした波形を描いていた。誰かが心臓マッサージをしていた。

私の携帯電話には、今もマックスへの不在着信が十七件表示されたままだ。応答のないその呼び出し音は、今や嘲笑のように感じられた。

この無菌の廊下で、見知らぬ人々が私の世界で最も大切な人を救おうと戦う姿を見つめながら、私はついにどん底がどのようなものかを理解した。夫の裏切りでも、一家の恥辱でもない。これだ――誰かを必要としているのに、そばには誰もいないということ。

「お父さん、お願いだから行かないで。私、一人じゃ無理だよ」

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