第6章

陽が沈み、廃墟と化した霞ヶ浦ワイナリーは血のような薄暮に包まれていた。錆びついた機械が鋼鉄の怪物のように、荒れ果てた倉庫の中で不気味な影を落としている。風が金属を軋ませる音だけが、死のような静寂を破っていた。

私と和也は息を殺して酒蔵の裏口へと忍び寄った。車で見つけたGPS追跡装置は、佑美さんがここに囚われていることを示していた。心臓は激しく高鳴り、その音が敵に聞こえてしまうのではないかと恐れた。

「気をつけろ」和也が小声で言い、私の腕を強く掴んだ。

私は頷き、軋む鉄の扉を押し開けた。その瞬間、眩い懐中電灯の光が私たちに向けられた!

「来たのね!」暗闇の中から、狂的な興奮に満ち...

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