第6章
私も正典にチャンスを、この家庭にチャンスを与えようと思ったことはある。
けれど、過去の数えきれない絶望の中で、私は次第に悟ってしまった。無駄なのだと。
愛だって、消えてなくなるものなのだ。
その後、私は病院へ向かった。
医師の診断によれば、中等度のうつ病だという。
診察室に座りながら、私はその診断を静かに受け止めた。まるで他人の病状について話しているかのように。
六ヶ月前、私はこの区立病院で流産した。そして今、また患者として戻ってきた。
堂々巡り。まるで不条理な円環のようだ。
「佐藤さん、適度な休息とカウンセリングが必要ですよ」
医師は私に処方箋を渡しなが...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
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