第4章

和泉陸は拳を固く握り締め、手の甲に青筋がうっすらと浮かび上がっていた。

私は本能的に手を伸ばして彼に腕を掴み、事態がこれ以上悪化するのを避けようとした。

「和泉陸、帰りましょう」

私は小声で言った。手のひらの下で、彼の筋肉が強張るのを感じる。

山田優介は車の傍に立ち、私が和泉陸の腕を掴むその手に視線を落とした。その瞳は氷のように冷え切っていた。

彼の口元が歪み、苦々しい笑みが浮かぶ。それは普段の優雅で気品ある彼とはまるで別人だった。

「わかったよ」

山田優介は冷たく言い放った。

「君の戯言を信じた俺が馬鹿だった、和泉優香」

諦めただの、二人が一緒になることが解...

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