第6章

そう、これはほんの始まりに過ぎなかった。この物語が、どれほど長く、残酷なものだったのか、私はようやく分かり始めていた。

どっと疲れが押し寄せ、私は母の日記を料理本に滑り込ませた。この記憶から、少し離れたかった。父の側から、この出来事を理解してみるべきかもしれない。

父の机は、いつものように塵ひとつなく片付いていた。整理されたファイル、完璧に整列したペン。すべてが、あるべき場所に収まっている。その感情さえも。

古い日記をしまっている一番下の引き出しを開けた。一番上にあった一冊は使い古され、縁が黄ばんでいた。最初のページをめくる。「二〇〇二年」と、父の丁寧な字で書かれていた。

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