第112章 彼は皆に見捨てられた

「パチパチパチッ!」

小泉星菜と今村拓弥の作品が披露されると、会場は一瞬、息を呑んだように静まり返った。

――次の瞬間。

最前列の審査員たちが、真っ先に立ち上がって拍手を送る。

それに釣られるように、後方の保護者席からも歓声が上がった。

彼らが、これほどまでに沸いた理由は単純だ。

小泉星菜と今村拓弥の絵が――あまりにも美しかった。

もっとも、二人が描いたものは同じ種類ではない。

小泉星菜は鉛筆の素描。今村拓弥は水彩。

けれどその二つは、不思議なほど自然に溶け合っていた。

小泉星菜のパートには、モノクロの世界で必死にもがく一人の人影。

やがてその前方に、少しずつ色が差し込...

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