第33章 彼女は松原真哉を要らなくなった

「……これ……」

小泉星菜は今村真崎を見て、次に今村拓弥へ視線を移し、ためらいを顔に滲ませた。

頼めば、今村真崎親子は迷わず助けてくれる。

それは分かっている。けれど――最近、助けられてばかりだ。これ以上、私事で走らせるのは申し訳ない。

「小泉さん。俺と父さんに借りを作るとか、気にしないで」

今村拓弥は星菜の心を読み取ったのか、目の前の麺の器を押しのけ、ぱたぱたと彼女のそばへ駆け寄ると、脚にぎゅっと抱きついた。

そして、いい子みたいににこっと笑う。

「数日後、父さん出張なんだ。俺、小泉さんの家に引っ越すからさ。ちゃんと俺の面倒見てくれたら、それで帳消し。ね?」

「……分かった...

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