第35章 松原聖矢に新しいママができた

人の我慢には、限界があるのだろうか。

松原真哉は心の中で、母――松原法子の言葉を反芻した。しばらくしてから、ゆっくりと目を閉じる。長い息が、胸の奥からこぼれ落ちた。

「ありがとう、母さん。言いたいことは分かった」

「それでいいのよ」

松原法子は鼻で小さく笑い、横目で白石菜々子をちらりと見た。

「白石さん。あなたも分別はわきまえて。昔、真哉と別れたのはあなたでしょう。真哉があなたを捨てたんじゃない。あなたが真哉を手放したの」

「はい、松原夫人。肝に銘じます」

白石菜々子は顔色をさっと失い、慌てて視線を落として逃げた。

「尚美、行くわよ」

法子は満足げに笑い、松原尚美を連れて松...

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