第50章 平野康介は彼女を騙した

「……ああ、そうか。『小西麻里が悪いんだから、罰を受けて当然』ってわけだ」

平野康介は拳をぎゅっと握りしめた。瞳の奥では荒波みたいな怒りが渦巻いているのに、声だけは不思議なくらい凪いでいる。

「真哉。もう決めたんだろ。小泉星菜と白石菜々子、どっちを選ぶか」

「星菜と離婚して……白石菜々子の夫として、あいつの人生の最後まで付き添うつもりなのか」

「……何を言ってる」

松原真哉が勢いよく振り返る。眉間に深い皺が寄った。

「康介。俺はお前と晃に、はっきり言ったはずだ。菜々子とは――もう終わってる」

「俺が白石菜々子に優しくするのは、昔……薬を盛られて、星菜と関係を持った。そのことで菜...

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