第52章 小泉星菜と犬は立入禁止!

「しゃべるな」

次の瞬間、小泉星菜の背後から平野康介の声が飛んできた。

星菜は足を止め、反射的に硬直する。

「来い」

その隙を突き、平野康介は彼女の腕をつかんだまま白石菜々子の病室から引きずり出し、病院の屋上まで連れていった。

「離して」

我に返った星菜がまずしたのは、力いっぱいに彼を突き放すことだった。

「星菜、どうしてまた病院に来た? 言っただろ。菜々子がケガしてから、真哉は情緒が不安定なんだ。今あいつに会いに行けば、君たち二人、またぶつかる」

平野康介は無礼を責めるでもなく、眉を寄せたまま不安げに星菜を見た。

「今すぐ帰れ。頼むから」

「麻里は松原真哉の手の中にいる...

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