第63章 松原真哉はまた心が揺らいだ

――彼に、彼女へ「まだ俺を愛せ」と言う資格なんてあるのか。

それとも――この態度で言い返されるなど、許せないだけか。

松原真哉は冷えた顔のまま小泉星菜を見据えた。意識の底に押し殺していた苛立ちが、またじわじわと胸を満たしていく。

「小泉星菜。俺を責め立てるのも、結局は俺の気を引くための手段か?」

「……もしそうなら、成功だ」

「俺がもう一歩譲る。今すぐ仕事を辞めて家に戻れ。俺と聖矢の世話を、これまで通り続けろ」

「そうしたら、俺が両親を抑える。今後はお前に手を出させない」

「ただし、菜々子のことは……受け入れろ」

「俺が菜々子に優しくするのは、俺たちが彼女に申し訳ないことをし...

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