第7章 ついでに天使を助けた

あの無邪気な声は、もう二度と笑って「ママ」と呼んではくれない。

――聖矢。もうすぐ分かる。私は誰かに寄りかかって生きるために生まれてきたんじゃない。あなたの父親と結婚する前の私は、たくさんの人にとって手の届かない夢だった。

小泉星菜は振り返らず、聖矢と言い争うこともしない。胸の奥でそう答えると、足を速めて松原真哉たちの視界から外れた。

「どうしたんですか!? だれか! この子、気を失ってる!」

ほどなく、エレベーター前。

下りのボタンに手を伸ばした、その瞬間。切羽詰まった悲鳴が耳を裂いた。

「子ども……?」

声の方を振り向くと、八、九歩先の床に、小さな男の子が倒れていた。陶器の...

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