第81章 彼は彼女と離婚したくない

松原真哉と離婚しろ、ですって?

――面白い。

どうしてあの人たちは、揃いも揃ってそれを「切り札」みたいにして私を脅すのだろう。

まさか今になっても、私が松原真哉なしでは生きられないと本気で思っている?

小泉星菜は、松原聖矢の顔を見ているだけで、笑いが込み上げそうになった。怒りで、だ。

「あなたが離婚協議書にお父さんのサインをもらってきてくれたら、感謝するわ」

それだけ言い残し、小泉星菜は松原聖矢の病室を出た。

「ママ!」

廊下の突き当たりが見えてきた頃、聞き慣れた声が背中を追ってきた。

けれど振り返らない。むしろ足を速めた。

「ひどいママ……なんで僕にこんなことするの? ...

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