第88章 お願い、お願いだから、私を殴らないで

「……え?」

自分が助かったのは、母さんと今村拓弥のおかげだって?

それに、菜々子さんが見つけてくれた医者は信用できないって?

そんなはずない。菜々子さんの話と違うじゃないか――。

松原聖矢は、松原真哉に怒鳴られて頭が真っ白になり、反射的に白石菜々子へ視線を向けた。

「菜々子さん。本当はどうなの? パパの言ってることと、菜々子さんが言ってたこと、いったい――」

「聖矢!」

言い終える前に、松原真哉と白石菜々子が同時に遮った。

松原真哉は聖矢の口を手で塞ぐと、そのまま菜々子のほうへ押しやった。目つきには、言葉にしない警告が滲んでいる。

「菜々子。全部きちんと聖矢に説明してくれ...

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