第93章 この車にはもう乗らない

「拓弥、私たちも行こうか」

小泉星菜が先に歩き出すのを見送り、今村真崎はくすっと二度、喉の奥で笑った。次いで、地面にへたり込んでいた今村拓弥をひょいと抱き上げる。

松原真哉、松原聖矢、それに白石菜々子の目が、いっせいに陰る。三人は無言のまま、父子と小泉星菜の背を追った。

ほどなく一行は校門へ出た。

駐車場には、松原真哉の車と今村真崎の車が並んで停まっている。

「菜々子。ここで待ってろ。晃には連絡してある。すぐ迎えに来る」

松原真哉は自分の車をしばらく見つめ、やがて声を落として隣の白石菜々子へ告げた。

今日だけで色々ありすぎた。どれだけ彼女を可愛がっていようと、今はもう小泉星菜と...

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