第96章 小泉星菜、婚姻法を熟読する

「パパ……」

松原聖矢は松原真哉の袖をぎゅっと掴み、怯えきった目で見上げた。

「安心しろ。俺とママは離れない。お前には“ちゃんとした家族”を用意する」

聖矢が何を怖がっているのか、松原真哉には痛いほど分かっていた。深く息を吸い込み、できるだけ柔らかく笑ってみせる。

そうだ。パパとママは離婚なんてしない。ママは聖矢も、そして自分のことも愛している。わざわざ一線を引いて、家族を壊すはずがない。

真哉の言葉に、聖矢は少しずつ落ち着きを取り戻す。

そして小泉星菜を憎々しげに睨みつけると、今度は機嫌を取り戻したみたいに、ぴょんぴょん跳ねながら別荘の二階へ駆けていった。

――もういい。あの...

ログインして続きを読む