第12章 伊代妃奈が銃弾を受ける

理性は、まだ辛うじて残っていた。伊代妃奈は喉元までせり上がった言葉を、無理やり飲み込む。

庄司景悠はその一言で封じられ、言葉を失った。

結局――伊代妃奈の強硬な主張に押し切られ、長島刑事はほとんど狂気じみたその策を承諾した。

伊代妃奈はトレンチを脱ぎ捨て、身軽な黒の上下だけになると、音も立てずに冷たく狭い換気ダクトへ身を滑り込ませた。

記憶と方向感覚を頼りに、倉庫の奥へ、じりじりと這っていく。

その頃、倉庫の中も同じくらい張り詰めていた。

「くそ……あのアマ、どういうつもりだ? 『一人残せ』ってよ。どっちが庄司沢弥なんだよ」

苛立った男が空き瓶を蹴り飛ばし、ガラン、と乾いた音が...

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