第19章 危機の瀬戸際に思い浮かべたのは彼女の身の香り

その考えが頭をよぎった瞬間、庄司景悠は自分で即座に叩き潰した。

――彼女に連絡する?

自分が、彼女の言葉ひとつで眠れなくなっているなんて。そんな滑稽を見せるために?

庄司景悠は鼻で嗤い、スマホをベッドへ放り投げた。

一睡もできなかった翌朝。充血した目のまま食堂に姿を現した庄司景悠を見て、庄司大奥さんと、ようやく機嫌を直したばかりの新谷木雪がそろって息をのんだ。

「景悠、どうしたの……? 一晩中、寝てないの?」新谷木雪が不安そうに尋ねる。

庄司景悠はコーヒーを手に取り、一口だけ飲む。

それを見た新谷木雪は、すぐに甲斐甲斐しく身を乗り出した。

「景悠、会社のことで疲れすぎてるんじ...

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