第34章 もうやめる

同じ頃――庄司本家。

林田白弥は庄司景悠の部屋を出ると、その足で裏庭の温室へ向かった。

庄司家の大奥様は車椅子に腰掛け、使用人に押されながら花を眺めている。

白弥の姿を認めるや、顔いっぱいに慈愛の笑みが浮かんだ。

「白弥、やっと帰ってきたのね。ほら、叔母さんに顔を見せてちょうだい」

「叔母さん」

林田白弥は近づき、自然な所作で使用人から車椅子の取っ手を受け取る。

「帰ったら真っ先に叔母さんに会いに来るって、決めてましたから」

「口が上手いこと」

大奥様は彼の手を軽く叩き、それからふっと笑みを引っ込めた。

「景悠のほうは……どう?」

「体調はまだ万全とは言えません。ただ、...

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