第36章 病状はかなり良くない

アパートのドアが「バン!」と乱暴に押し破られ、伊代妃奈はよろめきながら洗面所へ飛び込んだ。

最速で――胃を洗う。

冷たい液体を無理やり飲み下し、胃の奥へ流し込む。内臓がぐちゃりとずれていくような錯覚に、吐き気が込み上げた。

もう、薬は体に回っている。

胃洗浄だけじゃ間に合わない。病院へ行かなければ。

リビングから洗面所まで、たった数歩。

なのに今は、千里の彼方みたいに遠い。

「どさっ」

膝から力が抜け、床に叩きつけられた。

だめ……もう……意識が……

視界の光がじわじわ薄れ、やがてすべてが黒に塗りつぶされる。

……

庄司本家。

林田白弥がリビングに足を踏み入れる。

...

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