第42章 未来の女主人は……

「ど、どうして……ぼくがチョコ好きだって……」

庄司沢弥は涙を目いっぱい溜めたまま、意地でも落とそうとしなかった。

「当てずっぽう」

伊代妃奈は笑って、目元を拭ってやろうと手を伸ばす。だが彼はさっと身を引く。

庄司沢弥は手の甲で乱暴に顔をぬぐい、箱を受け取ると胸にぎゅっと抱きしめた。

「……ありがとう、ママ」

泣き顔を誰にも見られたくないのだろう。

彼はそのまま、逃げるように走っていった。

息子の背中を見送りながら、伊代妃奈の胸はきゅっと酸っぱく、同時にふわりと柔らかくなった。

庄司景悠は傍らで、その一部始終を黙って見ていた。

ケーキひとつで、沢弥がここまで反応するなんて...

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