第48章 婚姻協定を締結する

「庄司社長……私は、そういう女じゃありません」

名門に嫁ぎ込むためなら子どもさえ駒にする――そんな女じゃない。

伊代妃奈の瞳に浮かんだ軽蔑と侮蔑は、細い針みたいに庄司景悠の胸を刺した。

言いたいことは分かる。

……分かるはずなのに、どこか噛み合わない。

彼は彼女の「そういう女じゃない」を、最低限の倫理はある、他人の家庭を壊してまで不倫相手にはならない、という意味だと受け取った。

その認識が、庄司景悠の心をひどくねじれさせる。

一方で、微かな歓びが湧いた。

こいつは筋の通らない人間じゃない。新谷木雪みたいに目的のためなら手段を選ばない女とは違う――そう思えたから。

だが同時に...

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