第82章 彼女は荘司家の全員を憎む

「母さん、そんなにカリカリしてどうしたの?」庄司泉は勝手に彼女の向かいのソファへ腰を下ろし、足を組む。「そんなに急ぎの用かよ」

庄司大奥さんは冷ややかに一瞥した。

「前に言ったわよね。伊代妃奈を連れて行けって。どうなったの」

「兄貴が見張ってんだよ。そう簡単に手ぇ出せるわけないだろ」庄司泉は肩をすくめ、どこ吹く風だ。「それにさ、無理に押し通したって結果なんか出ねえよ」

「やり方を変えなさい」

庄司泉が眉を上げる。

「へえ? 具体的には?」

庄司大奥さんは身を乗り出し、泉を射抜くように見据えた。言葉を一つずつ噛みしめるように告げる。

「落としなさい。誘惑して、あの女が自分からあ...

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