第83章 庄司会社に事件発生

庄司泉は立ち上がり、リビングを行ったり来たりと歩き回った。口元に貼りついた笑みは、刻むほどに歪んでいく。

ふいに、あることを思い出す。

伊代妃奈。

そうだ。伊代妃奈が、今まさに自分のために治療をしている。

稲妻みたいなひらめきが脳天を貫き、庄司泉の身体がぴたりと固まった。

次の瞬間、胸の奥から巨大な歓喜が噴き上がる。

わかった。

全部、わかった……!

「はははは……!」庄司泉はまた笑い出した。腹を抱え、前屈みになって、涙が滲むほどに。

伊代妃奈が帰国したのは、自分への復讐のためだ。あるいは庄司景悠を誘惑するためだ。

ずっとそう思い込んでいた。

だが――違う。とんでもなく...

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