第85章 子どもを奪うつもり?

庄司沢弥は瞳孔をきゅっと縮め、反射的に振り返った。

押し開けられたマンションのドア。

庄司大奥さんが、護衛を二人従え、まっすぐ中へ踏み込んでくる。

そして一瞬で視線が止まった。

リビングの真ん中に立つ、小さな男の子。カートゥーン柄のパーカーに、手には通話用の腕時計。

その顔――沢弥の幼い頃と、驚くほど同じ。

ただ眉と目元に、伊代妃奈の冷ややかな影が少しだけ混じっている。

子どもの身に着けている、いかにも安っぽい服。

息が詰まるほど狭いこの部屋。

庄司大奥さんの胸が、針で刺されたみたいに痛んだ。

庄司家の血。自分の孫が――外で七年も、こんな貧しい暮らしを。

「さあ、こっち...

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