第21章 私たちは離婚するつもり

「何がいいのよ!」と重久の母は焦ったように声を荒げた。

「見なさい、その膝。あんなに打って……なのに、看病してくれる使用人ひとりいないじゃない。雇うにしたって、どこに住まわせるの?」

池川里緒は思わずくすっと笑った。

「何言ってるんですか。手も足もありますし、自分のことくらい自分でできます。そもそもこの部屋、私ひとりで住んでるんです。雇うなら客間を使えばいいだけですし」

けれど重久の母は、見れば見るほど胸の奥がざらついた。

分かっている。あの子のせいで、池川家はこんなことになった。里緒が、こんな小さなマンションでひとり暮らしをする羽目になった。

「里緒、お願いだから聞いて。あのマ...

ログインして続きを読む